バイクとバイクツーリングの世界に惹かれた、リターンライダーです。 DUCATI Multistrada 1200

高校時代。
自動二輪免許が、小型と大型の二種類だった時代。
自動車教習所では大型自動二輪免許は取れず、実技試験は一発勝負の時代。

友人たちが競って大型免許を取得していた。
「3回で通ったぞ。」「俺は5回もかかった。」とか言いながら。

諸々の事情により、私は原付免許もまだ取得していなかった。
「人力以外で駆動する乗物」は未知の世界のものだった。
きっと実際に乗ると、これまで体感したことの無い
世界に触れることが出来るのだろうと。浮かべていた。

原付免許を取るチャンスが訪れ、試験合格、免許交付の日が決定した。
既にバイクは友人より中古を購入し、ヤマハのRD50を自宅に保管してあった。
当時、50CCスポーツバイクはホンダのCB50、ヤマハのRD50、
が人気車種だった。

合格した日に自宅に入荷し、免許交付日までの毎日、行事があった。
朝、家の中から玄関先に持ち出して、エンジンをかける。
エンジン音を聞きながら、ヘッドライト、ミラー、タンクと磨いていく。
またいでバイクの鼓動を感じる。
エンジンを切る。
家の中にしまう。
あと何日。頭の中でカウンターの数字をひとつ減らす。

交付の日。
安全協会の受付は、朝9時から。
朝8時に入り口前に立ち、早めに扉が開くのを期待して、待つ。

これまでの毎朝の行事とは、今日は違う。
またいでバイクの鼓動を感じた後、エンジンを切る必要はない。

初乗りのコースは決めていた。
片道15キロほどの田舎道。
「人力以外で駆動する乗物」は、思ったとおりに快適だった。
社会に参加したような変な気分だった。
大人の仲間入りをしたような。

50CCだが、60kmぐらいなら維持して走行できる。
こちらとしては普通車と同等の気持ちでいるのだが、
相手からはじゃまっけにされて、すぐにぬかれる。
それが気に入らず、最初はビンビンと突っ走った。

郊外への経路。
前も後も邪魔ものはいない。
上空はクレパスの青と、白糸のすじ。
遠くの新緑が招き、数秒後には出会い、過去になる。
ジェット型ヘルメットには容赦なく、香りと共に空気がなぜる。
速度を増すごとに、数メートル先の点は放射線状に広がり、線になる。

穏やかな曲線をなぞるように、その乗物と人は進む。
興奮と、不安、快活を味わいながら。

ずっと続けこの時間。そして、止まれこの瞬間。

やっと訪れた、ささやかな「免許の日」だった。
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