バイクとバイクツーリングの世界に惹かれた、リターンライダーです。 DUCATI Multistrada 1200

その船は町の人の大事な足。
24時間働いている。
一日に88便、昼間は10分間隔。
片道約13分の旅。

鹿児島と桜島を結ぶ「桜島フェリー」は生活船だ。

九州最南端の鹿児島県佐多岬から北上し、垂水経由で桜島に入った。
その日は桜島ユースホステルに宿泊の予定だ。

鹿児島は大都会。
見物と散策を兼ねて、桜島から鹿児島に渡る為にフェリーに乗った。
まさに渡し舟の「感覚」と「間隔」で発着する。
大きな船が行ったり来たり。

鹿児島に行く際に、船内にあるうどんの店が目に入った。
お客が食べているうどんにはおいしそうな「薩摩あげ」が入っていた。
地方によれば「てんぷら」ともいう。

薩摩での「薩摩あげ」。
長崎の「長崎チャンポン」、北海道夕張の「夕張メロン」と匹敵する説得力があった。
おいしそうだった。
しかし、片道13分の旅ではもう試すだけの残り時間はなかった。
乗船する前に意を決していないと機会を損失する。

鹿児島市内を散策した。
道幅は広く、建物はごろごろと大きい。
都会だと思った。

しばらく見物し、夕方になったのでファミリーレストランで夕食をとった。
結構満腹になった。

帰りのフェリーに乗船して思い出した...「薩摩あげ」

どうしてもこの船の薩摩あげ入りうどんが食べたかった。
この13分しかないと思った。
満腹だったが、別腹、別腹と念じた。

おじさんに注文した。
「薩摩あげ入りのうどんを、一つください....」

おじさんは言った。
「うどんは薩摩あげ入りしかないから」
メニューはひとつ。うどんだけだった。

しかも、当然のように薩摩あげ入りであった。
私は恥ずかしげにうどんをひとつ注文した。

まもなく、うどんが完成した。
おじさんが言った。
「薩摩あげ1枚多く入れといたから」

私の顔には、よっぽど「さつまあげ」と書いてあったのだろう。

満腹にもかかわらず非常にうまかった。
特に追加の1枚はおいしかった。
「ごちそうさま」と言い、器を返却した。

あれ以来、薩摩あげを食べるたびに思い出す。
1枚増やしてくれたおじさんの顔を。

1枚の薩摩あげにこだわった、
小さな小さな船旅だった。
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