バイクとバイクツーリングの世界に惹かれた、リターンライダーです。 DUCATI Multistrada 1200

おとうさんは朝から大忙し。

1泊2日のファミリーキャンプ。
初日の朝から準備、準備。
5人分の衣食住の道具を揃えて積み込む。

テント、タープ、シートにシュラフ。
ランプ、マット、コンロ、にテーブル。
椅子、食器にクーラーボックス・・・・

ワゴンの荷台はいっぱい。
ルーフキャリアにも満載。
5人分の荷物と人間が乗り、車体をしずめていざ出発。

キャンプ場にとうちゃ~く。
それ~、荷物を降ろして、設営、設営。
タープにテント、クーラーボックスはあそこ。
天気は大丈夫かな、日が暮れるまでには完了するぞ。

まずはシートをひいて、テントを張ろう。
ポールを立てて、ワイヤーをひっぱる。
ランプポールはその場所に...
ホワイトガソリンのポンピングをしなくては。

米は先に洗って、食事の準備。
テーブルと椅子を組み立て、火をおこそう。
みんなで分担、「家」と「台所」をつくるのに大忙し。

数時間後、設営が完了し、食事も完成した。
「ふ~と一息」
タープの下、家族で食事する、ファミリーキャンプの最も楽しいひとときだ。

この「家」と「台所」も明日の昼頃には撤収する。
そのころには、また今日の繰り返し。(それ~、かたづけるぞ)

おとうさんはお気に入りの椅子に座り、星空を眺めてうつろう。
子供は遊び疲れて寝たかな...

トイレに行くべく、川の橋を渡り、
向こう側の川添いに出たときのことであった。

小さな黄色の三角テントに、ランプがひとつ。
ひとりで晩餐をしている人がいた。
そばにはバイクが一台とまっていた。

大きなライトが2個ついた、白と赤の背の高い車体だった。
ホンダ製のオフロードバイクだった。
バイクの名前はわからなかったが、とにかく大きなバイクだなと思った。

今日の夕方に、やっと完成したうちの「家」と比べてそのテントは、
なんとシンプルなこと。
そして荷物の簡素なこと。
ひとり分とはこんなに軽装備で、バイクに積載できるものなのか。
バイクの世界にこのようなジャンルがあったのか。

ひとりバイクを楽しむ気ままな空間が、うらやましく思った。

トイレからの帰り道で通ったときには、
彼はすでに晩餐を終え、ランプが消えていた。
もう寝たのかと思った。

翌早朝、昨夜と同じく橋を渡り、もどる途中に川添いから見た。
彼はテントサイトの隣人と挨拶をし、バイクにまたがるところだった。
あの装備が見事に積載されていた。
ひとり分とはいえ、バイクに積めるものなんだな。と思った。

そして、エンジン音を控えめに発しながら木の橋を渡り、旅立った。
私はそんな一部始終を興味深げにながめていた。

それから数年後、私はバイクの免許を取り、
大きなライトが2個ついた、背の高いホンダ製の白と赤のオフロードバイク
を購入した。

そして、念願の単独キャンプツーリングが実現した。
小さな黄色のテント、シュラフ、ランプ、一人用のコンロと鍋。
あっという間に設営し、食事の用意も完了した。
キャンプサイトの隣人と、かたらいのひとときをも持つことができた。
あの日、キャンプ場で見たバイク乗りと同じ経験ができた日だった。

そのキャンプ場には多くのファミリーキャンパー達が来ていた。
「大家族」の彼らのなかには、
珍しげに、私のきままなひとりキャンプをながめていく人もいた。

私は晩餐を終了し、食器を片付けた。
今日の走行路を振返り、明日の走行計画も立てた。
あとは何もすることが無いので、寝た。

早朝に眼が覚め、コーヒーとパンで簡単な朝食を終えた。
テントや「台所」を撤収し、バイクに積み込み出発準備完了。
隣人に別れを告げて、バイクにまたがった。

そんな一部始終を、興味深げにながめている姿があった。
昨日から、私のひとりキャンプをながめていたファミリーキャンパーの
「おとうさん」だった。

エンジンを始動し、駆け出したそのミラーにはしばらく「おとうさん」の
姿が映っていた。
彼の胸中には何が響き、何が芽生えていたのだろうか。

数年前の自分を思い出しながら、私は旅立った。

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