バイクとバイクツーリングの世界に惹かれた、リターンライダーです。 DUCATI Multistrada 1200

北海道、標津町、開陽台のふもとにある道路。北十九号。
バイク雑誌や、情報誌に紹介されている道。
あるホームページでこの道を知った。
まっすぐに伸びる。下り、上り、空につながるように消える。
天に昇るが如く感じる道。

行ってみたいと思った。この道を走ってみたいと切望するようになった。

その思いは、その年の夏に実現した。
北十九号については、事前に調べていた。

北海道ライダーの聖地、開陽台の近くにある。
知床方面から、北十九号に入る。
開陽台を目指し走る。
坂を下り、上る。ゆるく左にカーブしているところでバイクを止め、
振り向くと、その光景が目に入る。
弟子屈方面から来て、開陽台に上がり、帰途も同じコースをとったライダーは、
この光景に気がつかずに帰ってしまうことがある。
つまり、弟子屈方面から来た際は、開陽台入口を通過し、
ゆるく右にカーブすると、その光景が目に入る。

この言葉を脳裏に焼きつけて走った。

北海道に上陸して、三日目。美幌峠を越え、弟子屈を通過し、北二十五号に入る。
標識のひとつひとつを、穴が開くほど見つめながら、進む。
開陽台という文字を見るたびに、胸が締め付けられる思いがする。
「開陽台左」の標識を見る。
「いよいよだ。」心臓のあたりで、自分がしゃべった。
左折、直線、しばらくすると、右折。
開陽台入口の標識がある。ここで入ってしまってはいけない。
少し上って、ゆるく右にカーブする。
脳裏に焼き付けた次の言葉を探った。
「ゆるく右にカーブすると、その光景が目に入る。」

ホームページで見たその光景が目に入った。

まっすぐに伸びる。下り、上り、空につながるように消える。
天に昇るが如く感じる道。

しばらくは、只、只、じっと見ていた。

たくさんの人が、道の途中で立ち止まっていた。
「そうだ、写真を撮ろう。」まるで、ひらめいたかのように、つぶやいた。
そばに居た、ライダーに言った。
「すみませんが、写真を撮っていただけませんか。」
どう見ても、自分よりは10歳は若く見えた。
写真を撮ってもらった後、あなたの写真も撮りましょうかと、私は言った。
彼は言った。
「ここでは、何回も写真を撮ったから結構ですよ。」
彼のことが羨ましかった。

彼が去った後、写真を何枚も撮った。
道だけの写真を何枚も、何枚も、撮った。
もういいのに。と自分でも思った。

そのうちに、カメラのピントが合わなくなった。
・・・オートフォーカスで、風景のピントが合わない?

しばらくして、自分の瞳が潤んでいるのに気がついた。

一台のバイクが走っていった。
永遠に続くかのような、エキゾーストノートが響いた。
「走るのが惜しいな。」

ピントが合わなくなった瞳で、私はつぶやいた。
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